竹内栖鳳 Takeuchi Seiho 雨霽昭和3年(1928) 各171.2×369.0 cm 雨霽とは雨上がりのこと。大きくうねる柳の樹上では、一羽の鳶が幹を力強くつかんでいる。右から強い風が吹きつけているのだろう。風に揺れる枝葉の動き、鳥の姿など、瞬間的な情景が卓越した描写で表されている。 爐邊昭和10年(1935) 61.0×72.0 cm 心地よい暖かさに満足しきった二匹の仔犬の表情と仕草に、思わず微笑を誘われる。火かき棒と少量の炭の破片をあしらうだけで炉辺を表し、その暖かさまで描出する構図描写は栖鳳ならではである。 竹内栖鳳 元治元年(1864)~ 昭和17年(1942) 京都に生まれる。幼少期より絵に興味を持ち、土田英林、幸野楳嶺に師事。円山四条派の伝統的写生を基本としながら、その中に西洋画の写実性を取り入れた新画法を生み出した。文展開設に際し審査員を務め、以後官展を中心に意欲作を発表。画塾竹杖会を主宰するなど後進の育成にも熱心に取り組み、多くの逸材を輩出した。