小林古径 Kobayashi Kokei 楊貴妃昭和26年(1951) 164.0×83.0 cm 本作は、宝生流の野口兼資が演じた能舞台をもとに描いたもの。鬘帯の幽かな動き、極度に抑制された役者の仕草など、能表現の持つ静謐な緊張感が見事にとらえられており、まさしく古径の円熟した境地がうかがえる一作である。 木蓮大正8年(1919) 140.0×50.0 cm 古径の画風変遷からとらえると、それまでの優麗な歴史画から厳しい自然観照へと移りつつある頃の作品で後年の端正さをうかがうことができる。日本画の顔料がこれほどまでに美しかったのかと再認識させられる一幅である。 小林古径 明治16年(1883)~ 昭和32年(1957) 新潟県に生まれる。梶田半古の画塾にて有職故実や歴史画を学び、博覧会等で受賞を重ねる。明治43年には安田靫彦に誘われ紅児会に入会し、今村紫紅や速水御舟らとともに研鑚を積んだ。大正3年、再興日本美術院にて同人に推挙され、以後院展を舞台に活躍。洗練された線描で形態を単純化し、透明感ある端正な画風を築いた。